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昨日書いてた、没にした後日談です。

先に注意書きです。

言葉足らずで申し訳ないんですが、完結してないです。
しかも、前振りとかないです。いきなり、はじまってます。
しかもしかも、いきなりぶったぎりで終わってます。
(没になることがわかってから書くのやめたので)
推敲もせずに書きなぐってるので、読みにくいと思います。

本来の後日談は、月曜日の智博が、週末を回想する話でしたが、
こっちの後日談は、智博と祥子の視点が交互になってます。

土曜日の話です。
遊園地は行ってません。
ショッピングモールでお買物してます。
釜飯です。


そんなのでもいいよーって思ってくださる方、どうぞですvv



拍手[36回]



 


「なに買うの?」
 売場案内の看板を見ている祥子に訪ねる。振り返る顔が、智博を見た。視線が絡む。柔らかく微笑まれる
 それだけでも、どうしようもなく心が沸き立った。

「食器がね、欲しいの」
「食器?」
「あなたの分を一式」
 きっと今の自分の顔はどうしようもなく緩んでいるだろう。

「置いててくれるんだ」
「いつでもご飯食べに来てね」
 頷きと共に、繋いだ手に力がぎゅっとこもる。
 専門店が多く入っている施設には、食器を売っている店もいくつかある。その中の一つに入り、いろいろと見比べた。せっかく智博が使うものだからと、祥子は手にとっては智博に伺いを立てる。

「これがいいかな」
 シンプルな乳白色の素材に、落ち着いた青の模様がついたのを智博は選んだ。

「いいかも。大きさもちょうどいいし。なんでも合いそう」
「で、祥子はこっちで」
 隣には、同じ乳白色に、淡いピンクの模様がついたものがあった。

「揃いでってよくない?」
 そう言って笑う智博に。

「うん。お揃いで買うね」
 祥子はそう答えた。
 先に買うと重いので、店員に在庫を確認して後で購入することを告げた、そうすると、荷物はサービスで預かっていてくれるというので、その場で二人分の食器を一式、購入した。

 支払いは少し、もめた。
 自分の分もあるのだから、払うという智博を、祥子は抑えた。

「誕生日プレゼントだと思ってくれれば。もらってばかりでなにもできなかったから、こうしてあなたのものを買えるのが嬉しいの」
 そう説得されれば折れるしかない。祥子は離れている間にもらったプレゼントのことをとても気に病んでいるようだが、あれは金額が問題ではなかった。ブレスレットとアンクレット。自分の選んだ鎖で、祥子を自分へとつなぎとめたいという思いからだった。
 念願叶って、今の祥子の左腕と左足には、智博によってつけられた鎖が輝いている。
 結局、代金は祥子が支払い、預かり証を受け取った。





 雑貨店をでると、智博が身体大丈夫? と確認してきた。それが昨日のことを言ってるのだとわかる。朝から散々聞かれたからだ。

「大丈夫」
 仕事による疲れを心配されるならともかく、あのことで心配されるのはいたたまれない。それ以上なにか言われる前に、祥子は足を進めた。

「ほかに欲しいものはある?」
 追いかけてきた智博が、祥子の手を掴む。そのまま、まるでそれが当然であるかのように指と指が絡む。

「特には。あなたは?」
「ちょっと、服、見てもいい?」
 手をつなぎ、向かったのは、メンズショップ。
 祥子は、智博と一緒に店に入り、好奇の目でまわりを眺めた。
 派手ではなく、落ち着いた色合いのシルエットがきれいな服が多い。智博は目に付いた一着を手に取り、どう? と祥子に確認した。

 ダークグリーンのニットだった。触ると、上質な毛糸を使っているのか、いつまでも触っていたくなるくらいに気持ちいい。Vネックのシンプルな形だが、長く着られそうだ。

「いいと思う。似合いそう」
「じゃ、これにする」
 それからも、何着が確認しては、カゴに放り込んでいく。ちらっとみた値札についた価格は、祥子なら手にも取らないような物だった。
 こういうところは、やはり違うんだなと思う。金に困ったことがない育ちなのは、こういうところに現れるのだろう。

「落ち着いた色、多いね」
 出会った頃は、髪と同様に、服装も派手だった。だけど、黒髪に戻してからは、服装も落ち着いたものに変化していた。

「なんか黒髪だと、服だけ浮くときあるからさ。こういう服の色の方が馴染むんだよ」
「もう髪は染めないの?」
 黒髪にした理由は聞いた。
 だけど。

「染めるのを推奨するわけじゃないけど・・・自由にしていいからね」
 また明るい髪にして、服装も派手になったとしても、内面や根本的な部分が変わらないのならば、智博の自由にしてほしかった。

「んー、そのうち染めるかもしれないけど、当分はこのままで。でも、ありがとう」
 昼間の人の多い店の中だというのに、とろけそうな笑顔を浮かべる智博は、間違えようもなく上機嫌だ。店内にはいくつものカップルがいるが、女性の視線が智博に向いていることに気づいた。そして祥子に向き、視線が変化する。
 以前からよく向けられていた種類のものだった。なぜこんな地味な女が、というような視線。だけど、選んだのは、智博だ。智博が選び、祥子も選んだ。ほかに惑わされないようにしなければならない。

「じゃ、これ買ってくる」
 レジに向かった智博を見送り、会計を待っている間、商品を眺めながら時間をつぶす。小物も多くあり、ケースの中ではシルバーアクセサリーや財布なんかもあった。

 そういえば、智博はこういうのもつけていない。高校生の頃は、ピアスなんかのシルバーアクセサリーもいくつかつけていたように思う。今はウォレットチェーンくらいだろうか。髪型や服装だけでなく、こういうところにも変化があった。
 本当に、今まで、どれくらい智博は、努力したのだろう。
 今こんな状況でいられるのは、すべて智博が動いてくれたからだ。そうでなければ、今のこんな時間はなかった。

「お待たせ」
 ロゴが入った袋を肩にかけて、智博は戻ってきた。すぐに絡まる指。ぬくもりが伝わる。
 それからものんびりとモール内をまわった。

 レディースショップで、智博がウィンドウに飾ってあったワンピースを気に入って、祥子をひっぱって中に入った。淡い紫に花びらが散り、裾がアシメントリーになっているそれは確かにかわいいけれど、自分にはこういうのは似合わないと思った。だけど、智博に着てみるだけでもいいからと言われて、試着室に向かった。着てみれば、やっぱりとてもかわいかった。ひらひらとした裾は少し動いただけで軽やかに揺れる。

「どう?」
 待っていてくれた智博に確認すると、智博は少し顔を上気させて、やっぱり満面の笑みをくれた。
 結局そのワンピースと上に羽織るストールは、智博が購入してくれた。




 それからも歩き回りながらも、智博はちらちらと証拠の様子を伺っていた。
 ずっと歩きっぱなしというのも身体に負担がかかるだろう。病気じゃないし、過保護になりすぎている自分には気づいているけれど、昨日出血をしたこととかを思い出すと、どうしても安静にしていてほしいと思ってしまうのも事実だ。

 祥子は頑固なところがあるから、自分から疲れたとか休みたいとかは言わないだろう。だから智博が気をつけなければと思う。
 表情に変化はないし、純粋にショッピングを楽しんでいるようにも見えるけれど、そろそろどこかで休んだ方がいいかもしれない。

「祥子、おなかすかない? ちょっと早いけど、混む前にご飯食べようよ」
 ショッピングバッグを持ったまま、祥子を引っ張って、食堂街のある上の階へのエレベーターにむかった。
 このショッピングモールには、セルフの店が集まったフードコートもあるが、あっちは家族連れも多く、忙しない。食堂街はフードコートよりも値段は張るが、その分のんびりできる。店のランチメニューを見ながら、祥子になにが食べたいか聞いてみた。

「これはどうかな? 釜飯って食べたことないの」
 オムライスとか、ドリアとか、パスタとか。
 そういうのではなく、釜飯っていうのは、なんだか祥子らしいと思った。

「いいよ。俺もあんまり食べたことないし」
 小鉢と味噌汁がついているランチは、選ぶ釜飯によって値段が違う。
 ガラスケースの中を見ながら、二人でどれにするかを選び、中に入った。




 店の中は、まだほとんど人はいない。
 壁際の奥の席に案内される。差し出されたランチメニューから決めたものを選び、お茶に口をつけた。

「服、本当にありがとう。大切に着るね」
 薄手のシフォンでできたワンピースは、段ボールを運んだり、軍手で商品を触ったりする会社には着て行けない。出掛けるとき専門になりそうだ。
 智博は少し笑った。

「俺、祥子にいろいろしたいんだよ」
 そう智博は言った。
 
「自分でもわかってるんだ。すっごい浮かれてるって。 ・・・ずっとさ、祥子ともう一度やり直せたらこんなことしたいとか考えててさ。今はそれが現実になりそうで、現実にしたくて、どうしようもないんだよ。だから、まだまだ俺がいろいろしたがると思うんだけど、嫌がらずつきあってほしいんだ」
 そんな風に言われて、誰が嫌だと首を振れるだろう。
 祥子が頷くと、ありがとうって言う智博の顔が更に笑んだ。
 前菜のおぼろ豆腐が入った小鉢とサラダを前に、祥子は口を開く。

「私も、あなたにいろいろしたいと思ってる。だから、あなたもつきあって?」
 智博は祥子にいろいろしたいと言う。それは、祥子も同じだ。
 祥子も智博にいろいろとしたい。食器だけじゃ足りない。もっとと思っている。
 智博は頷いてくれた。
 
 きっとこれからも、互いにいろいろと構い合うのだろう。
 喜んで、時々困って、でも嬉しくて。
 そんな日々を過ごしていくのだろう。





 ぐつぐつと煮立っている釜飯に、祥子は眼をきらきらと輝かせていた。
 海老と帆立の釜飯と、地鶏と椎茸の釜飯。
 互いの注文したものも、交換して。おこげがおいしいと祥子が笑う。そんな表情をもっと見たくて、自分の分のおこげの部分を祥子に譲ろうとしたら、おいしいからあなたも食べてと返された。
 確かにこげている部分はかりっとしていて、美味しい。
 ご飯物で、量も多く、祥子が先にギブアップしたので、残りは智博が食べた。
 デザートのシャーベットを食べてランチを終え、腹ごなしにとほかの階のショップを見回り、最後にスーパーに寄った。

 どこもかしこも、人は多い。
 こうして、二人で出掛けるのも楽しいけれど、やっぱり二人きりがいい。
 また祥子の部屋で、二人だけで、幸せに浸りたい。
 まだ真昼間の、明るい空間で、そんなことを思う。

「今日も泊まっていい?」
 カートを押す祥子に並びながら、少し背を屈み、祥子の耳元で問う。
 驚いたのだろう、びくっと身体を震わせて、智博を見た。
 少し照れたような顔をして、だけどこくんと頷いてくれた。
 そんな祥子の手からカートを受け取り、祥子の手には自分の手を絡める。
 夕飯は祥子の家で食べることにして、智博が食べたいものをいくつかあげると、祥子は必要なものを籠へといれていった。

「頑張っておいしく作るね」
 そう祥子は言うけれど、祥子の作るものはどれも口に合うし、おいしい。

「楽しみにしてる」
 最後の、とびきりにおいしい、デザートも。
 口に出さずに、ただ思う。

 とびきりにおいしいデザートである祥子は、そんな智博のやましい思考に気づくことなく、笑って頷いていた。

 

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