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連休はどこにも行かず、家でのんびりとするか、出掛けても、近場くらい。
「どこも混んでいるから。ゆっくり休んで」
彼女はそういって、娯楽よりも、彼の身体の心配をする。
彼女はいつだってそうだった。
どんなときでも、彼のことにとても気を使い、労わってくれていた。
昔も今も。
それが、どれほどかけがえのないものであるか―――今の彼はよくわかっている。
休みになると、子供たちは普段はなかなか遊ぶことのできない父親である彼にまとわりつき、離れない。
彼も、こういうときでないと長く接することができないので、子供たちに強請られるままに遊びにつきあうが、仕事とは別の疲労感を感じることも確かだった。
彼女はそういうことにとても敏感だ。
彼が疲れてきたことに気付くと、おかしや飲みもので子供たちの関心を彼から引きはがし、そのあいだに彼に休息を取らせてくれる。
「そういえば」
ごくごくと、子供用のジュースを飲む子供たちの世話を焼きながら、彼女が彼に言う。
「そろそろケーキが出来上がるころだと思うの。よかったら取りにいってくれる?」
そうして、彼は彼女の使いとして、喫茶店へと向かう。
実の親よりも親らしい、喫茶店のマスターと奥さんと、アイスコーヒーを飲みながら話をするのも、休日だからこそできることだ。
毎日子供たちの世話で大変だろうに彼のことをとても大切にしてくれる、妻である彼女のこと。
日々大きくなっていく、子供たちのこと。
会社での話や、社会情勢。
つきない話をして、予約をしていた奥さん特製のケーキを受け取り、家へと戻った。
家の中はとても静かだった。
冷え過ぎない温度にしているクーラーの音がやけに響く。
ケーキを冷蔵庫に仕舞い、みんながいるだろう部屋に向かって―――彼は思わず笑い出しそうになった。
部屋の真ん中で、彼女が眠っていた。
昼寝をする子供たちと一緒に眠ってしまったのだろう。
横向きに丸まるようにして眠る彼女の、背中にひっつくように、一人目の子供が。
そして彼女の腹部部分で、丸まるように眠る、二人目の子供が。
三人は、同じ寝相で、眠っていた。
彼は、三人を起こさないように気をつけながら、その場にしゃがんだ。
一人目は、外見は彼にとてもよく似ていた。成長するにつれて顔が変わってきたけれど、それでも彼女より彼の特徴をよく受け継いでいた。
二人目は、彼女にも彼にも似ていた。あやしながら、ここは彼女に、ここは彼に似ていると、二人で言い合っていたものだった。
その二人を生んでくれた、妻である彼女。
他を捨て、彼女だけを追ってきたからこそ、手に入れた、彼の家族。
一人目の頭を撫で、二人目の頭を撫で、そして彼女の頬を撫でた。
これが、彼の幸福だった。
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泉をもう書かないんですかと聞かれることがありまして。
今どんな感じで過ごしているのかなーと浮かんだ姿を一発書きしてみました。
彼らはこんな風に過ごしているようです。
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